MENU
Tokky
ボクワン運営者
ファン歴30年のボクシングファン。当メディア運営者のTokkyです。選手のセカンドキャリア、各界のファン達を始め人にフォーカスした独自の切り口での取材記事を発信しております!

俳優・酒井敏也のボクシング愛

  • URLをコピーしました!

皆様こんにちは。人にフォーカスするボクワンがファンにスポットを当てた新シリーズ「愛すべきファンたち」記念すべき#1は俳優の酒井敏也さんです!

世にも奇妙な物語、古畑任三郎、火曜サスペンス劇場…多数の作品に出演され続けている実力派俳優の酒井さんは熱きボクシングファン。Xをフォローしていただいたのをきっかけに酒井さんのボクシング愛をがっつりお伺いして参りました。その一部始終をどうぞ。

INDEX

ボクシングとの出会い

まず酒井さんとボクシングの出会いからお聞かせください。

「父親が野球とボクシングが好きで、大きな試合がある日は一緒に観てました。一番古い記憶でぼんやり残ってるのは僕が幼稚園くらい頃のです。藤猛が世界王者になって大和魂が流行語になった時からボクシングの良さを意識し始めて、1976年の輪島功一vs柳済斗の再戦の熱さに心を奪われてからずっとボクシングファンです」

輪島功一vs柳済斗の再戦の翌日、銀行強盗の事件が起きた話は有名ですね。

「そう。新宿で起きた銀行強盗事件。立てこもった犯人を警察官が説得した時の言葉が《君も昨日の試合を見ただろう?輪島の様に人生をやり直してみろ!》だったんです。それほど誰もが熱狂した試合でした」

立てこもり犯人を説得する時にボクサーやアスリートの話をするなんて今は考えられません。その時代の世界チャンピオンの影響力がどれだけ凄いのかが分かるエピソードだと思います。

「観てない人なんて居ないぐらいでしたから。今は今でスポーツコンテンツの種類が増えて、その中でボクシングも進化しているのでそれは素晴らしい事なのですが、輪島功一vs柳済斗ぐらい日本中が熱狂する様な試合をまた観れたら良いですよね」

推しを探しにホール通い 

ご自身で現地観戦する様になったのはいつからでしょうか。

「1990年代前半頃から、後楽園ホールに足を運ぶ事が増えました。最近は行けてないのですが1990年~2000年代までは推しボクサーを探しに新人王トーナメントを観に行くのがルーティンでした^^」

それはガチモンのボクシングマニアですね。現地観戦に行く理由でファン度の濃さが分かります。

濃度A

誰かを目当てに行くのでななく推しを探しに会場に行く【推し探し】

濃度B

目当ての選手が居てその選手を応援に行く【推しが居るから】

濃度C

知り合いが試合をするので応援に行く【身内だから】

当時の酒井さんは完全なる濃度Aですね^^

「自分で見つけた推しボクサーが活躍するほど嬉しい事はありません。2009年のLフライ級新人王で琉球ジムの知念勇樹さんに注目してました。長身でリーチを生かしたストレートが伸びるし、大きいパンチも振っていくスタイルでハメド的なふてぶてしさもある。この子を追いかけよう!と思ってたけど日本タイトル戦で負けて引退しちゃったんです。名護明彦さん、金内豪さんもデビューした頃から現地でその才能を目の当たりにして、将来に期待していたんですが世界には届きませんでしたね」

将来有望と言われていても、必ずしもそうはならない所もボクシングのリアルを感じます。

「そうなんですよね。あと選手とお会いした時に拳を写真を撮らせて貰うのにハマってました。拳の形、握り方、タコが出来る場所も人それぞれだけど凄く深みがあって。自宅にはこれまで撮らせて貰ったボクサーの拳の写真が沢山あります^^」

熱いバイブレーション

井上尚弥&藤原竜也の対談で、藤原竜也さんが俳優とボクサーの共通点について熱く語っていたのが印象的だったのですが、酒井さんが感じるご自身の俳優業とボクサーの共通点ってありますか?

「結論、どちらもエンターテイメントだと思います。お客さんからお金だけじゃなく人生の大切な時間を貰ってるんだから、つまらないものを見せてはだめ。そこは共通してますよね」

ボクシングの何かが、俳優としての酒井さんに影響を与えている事はありますか?

「ジョー山中さんが歌う竹原慎二さんの入場曲《熱いバイブレーション》を集中力を高めたい時に聴いてます。芝居を始める前に。ジョー山中さんの声が良いし歌詞も良い!あの曲を聴くとエネルギーが沸いてくる。さぁやるぞ!と気分が高揚するんです。竹原さんの入場開始からリングインまでの尺の長さと曲のテンポが凄く合ってましたよね」

今日はボクサーの入場曲の話題は出ると思ってましたが、熱いバイブレーション!そう来ましたか。名曲です。

「その選手のキャラやストーリーに合ってる入場曲だと、観る側のファンもその選手の世界観に浸れますよね。辰吉丈一郎さんの死亡遊戯、坂本博之さんの新世界…東京ドームでの井上尚弥さんのキルビルも最高でした」

年代別・忘れられない記憶

年代ごとに印象に残ってる試合やその理由、連想して思い出すエピソードなどお聞きしたいです。まずは70年代から行きましょう!

1970年~80年代 

ミゲール・カントの試合運び

「子供の頃、小熊正二さんがカントに勝てなかった試合を悔しいな~って思いながら観てました。ボクシングといえばKOという時代だったのでカントのボクシングに面白みは感じなかったのですが、とにかくパンチが当たらない。比嘉大吾さんがWBCフライ級王者になった後にベルトを見せて貰う機会があったんですが、WBCベルトにカントのバッジが付いてたので、やはり名選手だったんだなぁと」

サルバドール・サンチェスの強さ

「ロイヤル小林さんにとんでもない勝ち方をしてたウィルフレド・ゴメスを見て、こんな選手に誰が勝てるんだと思ったら、そのゴメスをサンチェスがボコボコにするという…当時はそのニュースをプロレス&ボクシングという雑誌で知ったんです。映像が見たい~!となっても我慢するしかなかった。今は色々な配信媒体やYOUTUBEもあるので便利になりましたね」

初対面の人の家で浜田剛史の載冠激!

「浜田剛史さんがアルレドントに挑戦した時、まだ誰でもテレビを持ってる時代じゃなくて僕も自分のテレビが無かったんです。当時警備員のアルバイトをしてたんですが、どうしても試合が見たくてその日の警備を一緒に担当した初対面の仕事仲間の家に上がり込んで見せて貰いました。僕が豚丼を作ってその人に食べて貰いながら浜田さんを応援。衝撃の1ラウンド失神KO勝ちで雨の様に座布団が舞うシーンは忘れられません」

具志堅敗戦のショック

「具志堅用高さんが僕のヒーローでした。ラストファイトになったフローレス戦の時、僕は高田馬場で芝居をやってたんです。車の中のラジオで具志堅さんが負けたニュースが聞こえて来て信じられませんでした。心のより処がなくなったというか…あの日は何度もため息が出ました」

1990年代 

常識外れの王者達

「ロペス、タイソン、ハメドが印象深いです。リカルド・ロペスがつまさきで立って体育座りしてる練習風景を見た時に衝撃を受けました。本当に基礎の練習から積み重ねてボクサーって強くなっていくんだな~と…その練習の積み重ねとしてリングで披露されるパフォーマンスを僕たちは見せて貰えてるんだなと思うとジーンと来るものがありました。タイソンがホリフィールドの耳を噛みましたね^^いくら試合ぶりが荒っぽいと言っても耳を噛むなんて普通じゃない。ハメドも面白かったですね~トリッキーでパンチが強くて1発で効かせてしまう。井上尚弥vsナジーム・ハメドなんて誰もが見たい幻の対戦じゃないですか」

川島兄弟にとって最悪の日

「川島郭志vsぺニャロサ戦の両国国技館での思い出です。戦前から《今回はヤバいかも》と聞いてて判定負け。川島さんのお兄さんが僕の近くの席に居たんですが試合の後、財布を無くしたって言ってました。カードや現金が入ってたそうで…ぺニャロサに負けるわお兄さんは財布を無くすわで、さんざんな一日だったという…」

デビュー直後のJOE辰吉を目撃!

「まだ日本タイトルを獲る前の辰吉さんを目撃した事があったんです!僕が芝居で大阪に行った時、先輩に誘われてサウナに行ったらそこで辰吉さんがアルバイトしてて。わ!辰吉さんだ!となりました。元気におでんを調理してましたよ。90年代のビックマッチと言えば辰吉丈一郎vs薬師寺保栄の日本人対決。僕は試合前の予想では辰吉さんが勝つと思ってました。試合までのカウントダウンがもうドキドキで…この試合を見届けるまでは何があっても死ねない。そういう気持ちで見入った試合です」

2000年代 

星野敬太郎の世界奪取

「とんかつ屋ボクサーの星野敬太郎さんが世界チャンピオンになった試合がとても印象的です。基本に忠実で攻防のバランスが素晴らしい!お会いした事があって写真も撮らせていただきました。今でこそ30歳を超えて世界のトップで活躍する選手は沢山いますが、星野さんが世界を獲った2000年あたりはまだそうじゃなかったので、翌日の新聞にも《31歳の星野が世界奪取》と見出しが出ていたのが懐かしい」

心底惚れ込んだトラッシュ中沼

「シューズに付けたボンボンが印象的で初めて見た時からこの選手いいな!と。思いっきりパンチを振っていくスタイルも好きでした。当時のフライ級戦線の中で内藤さんや坂田さんの影にいると言うか、世界を獲れそうな位置に居るの届かなくて…テレビ番組の取材でお会い出来た時は本当に嬉しかったです。自宅に訪問したら現役時代の表彰状やトロフィーが沢山飾ってありました。引退した理由も中沼さん本人の口から聞けてファンとして納得できました」

トラッシュ中沼と坂本博之の共通点

「中沼さんと坂本さんって似てるところがあるんですよね。境遇や戦い方、生き様…思いを込めて振り抜く左フック。世界に届いておかしくない実力なのに僅かに届かない。畑山vs坂本戦はどちらの応援というのではなく、純粋に《この試合どうなるんだろう?》という心境で見入ってました」

2010年代 

長谷川vsウーゴ・ルイス戦の「涙の匂い」

「長谷川穂積vsウーゴ・ルイスを現地で観たんです!このチケットは今も財布に入れて持ち歩いてます。長谷川さんが勝った時、ルイスが出て来なくて一瞬何が起きたか分からない感じで場内が静かになって…勝ったと分かった瞬間"涙の匂い"がしたんです。僕も泣きました。友人でボクシングファンの俳優・六角精児君に電話しちゃいました。《長谷川が勝ったー!勝ったぞー!!!》現地に居ない彼にとっては壮絶なネタバレだよ~と怒られましたが^^あんなに感動する事は滅多にありませんよ」

現地で聞いた「リアルな音」

「リングサイドに近い場所から観ていて凄い音を聞いた試合が二つあります。両国での岩佐亮佑vs椎野大輝戦。椎野さんの顎が”カクッ”って下敷きが折れる様な音が聞こえたんです。それと後楽園ホールで渕上誠さんの試合。パンチが相手のテンプルに当たった時に"カツン "って乾いた音がして…音を聞いて震えたのはこの二試合です。ボクサーが試合で命を懸けていることのリアリティを現場で感じた瞬間でした」

叩き上げがアマエリートを喰うロマン

「重量級の日本タイトルマッチで最も記憶に残る番狂わせが、ミドル級の渕上誠vs佐藤幸治戦です。何度もダウンを奪われていた渕上さんが大逆転でTKO勝ちした漫画みたいな試合でした。現地で観ていたのですが、後楽園ホールが揺れてましたね。ミドル級ですから迫力もハンパじゃなくて!アマエリートの佐藤さんをたたき上げの渕上さんが最後の最後で倒してしまうというドラマ…久々に映像が見たくなってきました^^」

今注目の現役選手たち

今現在、現役ボクサーの中で酒井さんが特に注目している選手が誰なのか興味深いです。

同郷・田中兄弟への思い入れ

「僕は岐阜県出身なので、同郷の田中克明さんには思い入れがあります。アマでの彼の試合を追いかけていると対戦相手に井上尚弥が出て来るんですよね。4回も対戦してます。だからアマ時代から井上尚弥さんにも注目してました。そういう経緯があるので田中克明さんの弟である田中恒成さんにも当然気持ちが乗り、応援しています!この前の試合では惜しくも負けてしまいましたが、また世界チャンピオンに返り咲いて欲しい!」

ハメドっぽいベンジャミン・ウィテカー

「東京五輪でLヘビー級で銀メダルを獲ったイギリスのボクサー、ベンジャミン・ウィテカーに注目しています!何回かYOUTUBEで試合を観ていて今はIBFのインターナショナル王座を獲りました。ちょっと動きがハメドっぽい。ハメドみたいなゴムっぽい動きじゃなくて、もう少しスマートなんですけど早くて強い。直近の2試合は判定ですけど、興味深くチェックしている選手です」

モンスター・井上尚弥の凄さ

「現地観戦した中で一番好きな試合はWBSS決勝のドネア戦。2Rの途中から試合のペース展開が速くなったので、僕はドネアが怪我でもしたのかな?と思ったんです。そしたら井上さんの方が眼底骨折してた。坂田健史vsロレンソ・パーラ初戦を思い出しましたよ。顎を折りながら戦うのと、眼底骨折した状態で戦うのってどっちが痛いんだろう?なんて考えたりして。そんな試合の後で《楽しかった》ってコメントするのが井上さんの凄さですよね。僕は俳優ですが、芝居って楽しんでやると意識したら面白い部分ってあるんです。でもボクシングという究極のスポーツで、あの大舞台で目の上のカット&眼底骨折しながら戦った感想が《楽しかった》は凄い。そう思えるハートの強さがモンスターたる由縁だと思います。階級を上げてパンチの音が変わりましたよね!バンタム級最後のバトラー戦と、Sバンタム級初戦のフルトン戦では井上さんのパンチの音が全然違う。画面越しに伝わってくるのが以前より乾いた音でパーン!パーン!って感じで。現地に居た人に聞くとパンチの音だけじゃなく足がキャンバスを擦る音も違うって言ってます。こんな凄い選手…彼だけで終らずまた出て来てくれたら嬉しいですね」

大切なお宝グッズ紹介

思い出のサインや写真、これを持ってるのは自慢だぞ!系コレクションのお話などもお聞かせください。

具志堅さんのサイン

「具志堅さんにはお仕事で二回お会いしてます。サインと写真も撮って貰って、二度目にお会いした時に僕の事を覚えていてくださったんです!それが本当に嬉しかったなぁ。余談ですが、撮れた写真もあれば撮れなかった写真もある。ある時、後楽園ホールで内山高志さんとユリオルキス・ガンボアが並んで立ってた瞬間があって…当時、内山vsガンボアはファンの間で話題の《観たいビッグマッチ》だったので、周りにいた人は全員写真を撮りたいと思ってたはず。対戦して欲しかったけど決まらなかったですね~」

千葉哲也先生が描いた暖簾

「僕はあしたのジョー世代で、ジョーが大好きなんです。舞台の時の楽屋暖簾にイラストを描いていただけないか千葉先生にご依頼したら描いてくださって(涙)この暖簾を飾ると皆が見に来るんですよ。日本で一番カッコ良い暖簾!一番の自慢です」

ちょい自慢シリーズ

「川島郭志さんの防衛戦の時、六角精児君と一緒にヨネクラジムに公開練習を観に行きました。そしたら僕らの姿がテレ朝のニュースステーションに映りました^^あと…笑っていいともに出演した時、スタジオ観覧者の100人のお客さんに何か質問して、1人だけ該当させたら勝ち!というコーナーがあって。そこで僕が《この中に女子ボクサーの方いますか?》と聞いたらドンピシャで1人居たんです(笑)」

ボクシングの魅力とは?

酒井さんの思う、ボクシングの魅力って言葉にするとどんなところでしょうか。

「選手たちの生き様に心打たれるんです。あしたのジョーに感情移入してジョーの生き様に心打たれた様に、選手たちのリアルな物語に感動させられます。試合の後、泣いてるボクサーと一緒に泣いてしまう事がある。選手は泣いてないのに僕が泣いている時もありました。ここまで熱くなれるのがボクシングです」

生き様!とても共感します。観てるものは殴り合いなのですが、その殴り合いの向こうに選手達の生き様が垣間見えて…戦い方に性格が出るし、リング上での姿はその選手のリアルな"物語"なんですよね。

「そう思います。今までも沢山の素晴らしい試合を観てきましたが、これからの日本ボクシング界も本当に楽しみ。井上さんがどこまで高い景色を僕たちに見せてくれるのか。バンタム級の世界王座を日本が独占なんて少し前までは考えられなかった様な状況ですよね。ビックマッチが発表される度に《この試合を見届けるまでは死ねないぞ》という気持ちにさせられるます。ボクシングは生きるエネルギー。最高です!」

ボクシング最高!100%me too です。

取材を終えて

初対面で80分も酒井さんを質問攻めにしましたが、終始笑顔で楽しそうに答えてくださりました。イメージ通りに物腰し柔らかな酒井さんですが、その中にあるボクサー達への熱い思い。ボクシング愛がとてつもなく深い!

僕は輪島功一vs柳済斗はリアルタイムでは見ておらず、あとからビデオで観た世代です。なので銀行強盗事件のエピソードはとても印象的でした。立てこもった犯人を警察官が説得した時の言葉が《君も昨日の試合を見ただろう?輪島の様に人生をやり直してみろ!》あの時代をリアルタイムで体感した酒井さんから聞くと胸に響くものがあります。改めてあの頃のボクサーの影響力の凄さを感じると共に、現代のスターであるモンスター井上尚弥にもそこまでの存在になって欲しいと強く思います。

最後に…酒井さんから「試合観戦中の自分が偶然ボクシング雑誌の写真の中に載るのが夢だけど、まだ叶ってない」とのコメントがありました。ぜひ叶います様に。

以上、愛すべきファンたち #1 俳優・酒井敏也編でした!

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

INDEX