皆様こんにちは。今回は特別編。
日本Sフライ級王者の高山涼深さんと、双子の弟の高山涼杜さんの「兄弟の絆」にフォーカスしたスペシャルインタビューです!
2人で切り盛りしている五反田のラーメン店《無冠》の休憩時間にお伺いしがっつりお話を聞いて来ました。ボクシングファン達が今より更にボクサー高山涼深を応援したくなる記事です。その一部始終をどうぞ。
家族構成と名前の由来
双子の兄弟なので2人兄弟かと思っていたのですが、聞けば4人兄弟だそうです。
・上のお兄さん
・双子の兄 涼深さん
・双子の弟 涼杜さん
・弟さん
この4人。一番下の弟さんはパーソナルトレーナーをやっており、涼深さんの食事面をサポートをしているとの事。ラーメン店《無冠》を切り盛りする双子の兄弟が高山涼深(すずみ)さん、高山涼杜(りょうと)さん。

どちらも「涼」という漢字を使っていて読み方を変えているという所が興味深く、ご両親はどんな思いでつけた名前なのか?について聞くと、涼深さんが答えてくれました。
「産まれる直前まで双子だと分からなかったみたいです。女の子が一人だと言われていたのが出産の直前で男女の双子だという事が判明し、女の子は涼美、男の子は涼杜にする予定だったそうですが…いざ出てきたら男・男の双子だった!先に出て来た僕の名前を涼美じゃなくて《深みのある男になれ》という事で涼深にしたと聞いてます」
双子の兄・高山涼深
高校時代はサッカーをやっていた涼深さん。ボクサーを目指す様になった背景をお聞きしました。

「兄弟4人でずっとサッカー少年でした。中学生の時に僕と涼杜がクラブチームに引き抜かれて僕はキーパーで涼杜はフォワード。僕は出番が少ないキーパーと言うポジションもありスタメンになれず、遠征に行っても荷物持ちばかりでした。出場機会があれば活躍できる自信はあったんですけどね。このままここに居ても変わらないと思ってサッカーに見切りを付け、ボクシングに行きました。世界チャンピオンになったらベルトを持ってあの時のサッカーチームに挨拶に行きたいと思ってるんです!自分の中でのモチベーションのひとつになってます」
サッカーで出場機会が思う様に与えられなかった事に拗ねて終わるのではなく、その悔しさをエネルギーに変えた涼深さんはボクサーデビューしてプロ6戦目で日本王者。このお店《無冠》は雇われ店長ではなく涼深さんがオーナーだと聞きました。そうなった経緯が興味深いです。
「以前は僕を指導してくれてる小口忠寛トレーナーがオーナーで、別に店長がいてその人の下で働いていたんですが店長が辞めたタイミングで小口さんから譲り受ける話をいただいて。親とお金を出し合ってこのお店を買い取りました。元々別のラーメン店で5年働いた経験もありますし、先々の事も考えて駅近のこの立地でやれるのはまたとないチャンスだ!と」

チャンスを逃さない嗅覚!試合ぶりと同じですね。大変な人気店で一日80人のお客さんが来店するとYahoo!ニュースに取り上げられてます。今は涼杜さんと一緒に切り盛りしてますが、涼深さんから涼杜さんをここに誘ったのですかね。
「そうです。僕から誘いました。無冠の営業を開始した当初、涼杜は北海道で別の仕事をしてたんですけど、こっち(東京)に来いよ!一緒にこのお店をやろう!とひたすら口説き続けました」
なぜ、涼杜さんを誘ったのですか?
「楽だからです。双子ってこの世で唯一無二の存在で。血の繋がりもありつつ友達みたいな感じもある。本当に何でも言い合える関係なので言い合い過ぎてヤバい雰囲気になる事も時にはありますけど、そうなれるから良い。涼杜はラーメン店で働いた経験は無いけど、教えればきっと頼れる存在になってくれる!そんな思いで誘い続けました。すぐ来てくれたワケじゃないんですよ^^かなり粘ってから来てくれました」
双子の弟・高山涼杜
小学生~中学生時代は涼深さんとはよく遊んでましたか?
「仲は良かったしよく遊んだほうですね。くだらない喧嘩もしましたよ。中学時代は涼深と僕の2人で1台の携帯しか持てなかったので、お互いがお互いの彼女とのやり取りを見ちゃうんです(笑) 見るんじゃねえよ~ってなりまして」
そうなりますね^^二人ともヤンキー系だった様には見えませんが、中学・高校と悪い道には一切行かなかった感じですね。
「全然そっちには行ってないです。スポーツ大好き兄弟で、涼深は途中でサッカーからボクシングに行きましたけど僕はずっとサッカーでしたね」

これまでの涼杜さんのキャリアを教えてください。
「プロサッカー選手を目指すことを考えた時期もあったんですが、それよりも母親を楽にさせてあげたいと思って、高校卒業後は公務員の専門学校に行きました。直近の仕事は配送業です」
その配送業の仕事をやっている時に、涼深さんから無冠で一緒に働こうと誘われたという事ですね。
「はい。誘われてもずっと断ってたんです。正社員で就いた配送業の仕事は休みも給料も安定してたし、飲食業の経験も無いのにラーメン店に行ってもなぁと。行きたくなかったんです」
誘われても断ってる期間がかなりあって、そこから気持ちが変わるきっかけになる出来事が何かあったのでしょうか。
「僕が5年間北海道に行っていた事もあり、1度も涼深の試合を観た事が無かったんです。東京に戻って来て初めて試合前の調整中の様子から当日のリングでの戦いまで近くで観ました。それが川浦選手との日本タイトルの決定戦です」
近くで涼深さんの試合を観た事で、心境に変化が起きたのですね。
「はい。こんな大変な事を頑張ってたんだなって。お店もまだ任せられる人が居ないから減量期間中でも涼深がお店の事を気にしがら調整しなくちゃいけない。自分が行ってお店をしっかり回せば、もっと涼深が試合に集中できると思って、ここ(無冠)に来る事を決めました」
もし涼深さんが川浦選手に負けて、日本チャンピオンになってなかったらどうでしたでしょうか。
「それでも来てましたね。俺がしっかりお店を回すから、獲るまで辞めるなよ!って言ったと思います」

兄弟の絆ですね。誘い続けた涼深さんの思いが届いて、涼杜さんが双子の兄弟+応援者になった瞬間だと思います。良い話!試合前の"集中ゾーン"の時の涼深さんに対してはどう接してるのかお聞きしたいです。
「接し方は変えない様にしてます。試合前だから今までやってた事を変えようとするとストレスになると思うんですよね。その時期は兄弟全員が実家に集まって、パーソナルトレーナーの弟が食事を管理、母が料理を担当して家族の全面サポートで試合に臨みます。いつも通りの感じを崩さない様にしてます」
高山家全員でのサポートが、涼深さんの強さの秘密のひとつなのだと思います。試合後の第一声、涼杜さんからはどんな言葉をかけるんでしょうか。
「おめでとう!の時もあれば、おまえ殴られ過ぎ!世界を目指すなら貰い過ぎ!の時もあります。まだ一度も負けてませんが、負けたらしょうちしねえぞって思ってます^^」
似すぎて間違われる話
これだけそっくりだとお互いに間違われたエピソードが沢山あるはず。思いつくのでどんなのがあったか教えてください。
「も~めっちゃあります!昔からあったし、今もあります(笑)」

涼杜さんが涼深さんに間違われる!
『アマチュア時代の試合後「試合終わったばかりでなんでここにいるの?」と言われたり、試合前に後楽園ホールのロビーにいると「おい!こんな時間にここいて大丈夫?試合だろ」と言われたり、ここ(無冠)で僕がお客さんに「この前の試合見たよ、おめでとう」と言われます。試合をしたのは自分ではありませんが「ありがとうございます!」と返す時もあります。もはや説明するより、なりすました方が早い^^』
涼深さんが涼杜さんに間違われる!
『駅のホームで電車を待っていたら、涼杜の知り合いにいきなり肩を叩かれました。「おう涼杜!」って僕に話しかけて来るんですけど…こっちからしたら「あなたは誰?」って感じなんです^^池袋で友達を待ってたら「おう涼杜!」と言われたり。あるあるですね笑』
お互いの長所と短所
お互いの長所と短所、尊敬している部分について教えてください。
涼深さん→涼杜さんへ
「自分の個人的主張はお店の為に押し殺して、割り切ってやってくれるところは凄いのだけど、割り切れなくなった時の我の強さがあって(笑)そこが良い所と悪い所で表裏一体。試合前は言いたい事を言わずに頑張ってくれるけど、試合が終わったら主張の違いでぶつかる時はあります。そういう時もお互いに溜め込まずに言い合えるのは兄弟だからですね。涼杜がいなかったらここまでお店は回ってないので感謝はめっちゃしてます。来てくれてありがとう。ここに居てくれてありがとうって思ってます。」
涼杜さん→涼深さんへ
「何においても絶対に成し遂げる所は尊敬してます。決めたらやりきる。逆にやらない時は0で、100か0なので極端すぎるというか…その真ん中が欲しい時がある(笑)もうちょいバランス感が欲しいなと。でも現役ボクサーにそれを求めるのは酷ですよね。100%コミットの集中が必要なスポーツだと理解したうえで自分の意見は思いっきりぶつけます。試合前に倒すと言ってなんだかんだ本当に倒すので、凄いと思ってます」

涼杜さんはボクシングやった事あるんですか?やってみたら強い可能性あると思うのですが。
「よく言われます。やったことないですが、やったらセンスあり過ぎてヤバいかもしれませんよ^^」
取材を終えて
双子の兄弟。この店に来てくれ!と兄が弟を誘い続けた理由は「双子ってこの世で唯一無二の存在で。来てくれたらきっと頼りになるから」
その誘いをずっと断り続けて来た弟が、お店を切り盛りすると決めた理由は「日本王者になった試合を観て心が動いた。自分がお店を回せば、もっと涼深が試合に集中できる」
ボクサーとして上を目指すという夢が、兄一人の夢ではなく高山兄弟二人の夢になった経緯に感動しました。試合前のサポート状況を詳しく聞くと、いまや涼深さんの夢は高山家全員の夢。目指すは世界のベルト!

2人が口を揃えて言うのは「兄弟だから言いたい事も溜め込まず言い合える。アタマに来る時もあるけど、なんだかんだお互いに唯一無二の存在」リスペクトし合う様子に兄弟って良いなとなり、しばらく連絡を取っていない自分の弟の事を思い出しました。高山兄弟、ありがとう!
この日の取材中の会話で最もグッと来た言葉。涼深さんが日本王者になった試合に心を動かされてお店を手伝う決意をしたという涼杜さんに、もしその試合で日本王者になれず負けていたらどうしてましたか?と聞いた時の彼の言葉です。
「それでも来てましたね。俺がしっかりお店を回すから、ベルト獲るまで辞めるなよ!って言ったと思います」
絆ってこういう気持ちの事を言うのでしょうね。世界へ登れ!高山涼深!
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